英国見聞録020 素晴らしき大英博物館

今回は,大英博物館のお話です。
イギリスで暮らしている間に,いろいろビックリしたり,感心したりすることが多かったんですが,
その中のひとつに,大英博物館をはじめとする美術館や博物館なんかが,
ほとんどすべて無料で入れるってことがあります。

たとえば名古屋にあるボストン美術館の入場料っていくらか知ってますか。
それと比べれば,このタダっていうのが,いかにすごいことかがわかると思います。
この大英博物館には,「大英帝国に日の沈むところなし」といわれた,
イギリスの全盛期に収集した膨大なコレクションがあります。
たとえば,中学校の社会で習う「マグナカルタ(大憲章)」の写本があったり,
べートーベンやバッハやブラームスの直筆の楽譜があったり,
ロゼッタストーンがあったり,古代ギリシアの彫刻があったり,
5300年前のエジプトのミイラがあったりして,とても半日や1日ではまわりきれません。
これもタダでもらえるパンフレットには,
半日コースとか,1日コースで,ここだけは見といた方がいいよって感じでモデルコースもついてるんですけど,
それにしてもどこを見渡しても人類の遺産があるって感じがしましたね。
僕も1年の間に5回ぐらい行きましたが,
それでもまだ全部見切ったという感じはしませんでした。
ちなみに3回目に行ったときぐらいかな,
入口で荷物の簡単なチェックを受けるようになりました。
これは,IRAというグループが,当時イギリスのあちこちで爆弾によるテロ活動を行っていたからです。
このテロ活動についてはいつかまた,ゆっくりと書きたいと思っていますが,
僕は何の関係もない一般の人を爆弾で死なせてしまうようなテロ活動は,絶対に許すことができません。


この大英博物館のほかにも,ナショナル・ギャラリーというすばらしい美術館にもよく行きました。
日本にいるときには,美術館なんてほとんど行ったことがなかったけど,
ここにも,もうものすごくたくさんの絵がかかっていて,
たとえば中学生の頃に美術の教科書で見た絵や彫刻なんかがいっぱいでした。
そしていろんな絵を見ていると,なんとなく気に入った絵があって,
じっと見ていると,その絵がすごくいろんなことを僕の気持ちに訴えかけてくるんです。
それでいて,次に行ったときにもう一度その絵を見ると,
今度はまた違う雰囲気をもっていて,違うものを訴えてくるんですよね。
ちょっとキザな言い方だけど「あぁ,美術ってこうやって鑑賞するんだな」
って思ったものでした。