前にも書いたように,日本では当たり前のことでも,
イギリスでは変なことって,けっこうあるもんです。
今回は,スイカのお話しです。
もちろんイギリスにもスイカはあります。
日本のものほど甘くないですけどね。
ある日,下宿でスイカを食べたのですが,
なにげなく日本にいるときと同じように塩をかけたら,
下宿のおばさんや子どもたちにとても変な顔をされました。
僕がいくら,こうやって塩をかけると甘くなっていいんだと,といっても
彼らは全然信じようとしませんでした。
僕もちょっと意地をはって,塩をかけたスイカを彼らに食べさせてみましたが,
すぐにペッとはきだしていました。
やれやれ。
そういえばある日,日本の味がなつかしいだろうと思ったのか,
奥さんがイギリスにいる僕にようかんを送ってくれました。
これはものすごくうれしかったですね。
日本にいるときには甘いものはほとんど食べないんだけど,
たとえばようかんなんて,イギリスにいたら食べようと思ったって,
なかなか食べられないわけです。
毎日の生活の中で,なにげなくふっと食べたいなって思っても,
それが手に入らないと思うと,もう無性に食べたくなったりするわけですよ。
もちろんイギリスにもお菓子はあるし,甘いものもあるんだけど,
たとえば日本のようかんのような,まろやかで,繊細で,
上品で,まったりとしてて,それでいてコクがある甘さっていうのにかけるんですよね。
で,さっそくそのようかんを食べたんですが,
せっかくだからと思って,下宿のおばさんや子どもたちにも,
ちょっと食べてごらんよ,おいしいよ,ってな感じでおすそわけしたんです。
そしたらおばさんは「なんだか複雑な味だねえ」といい,
トムは「きらいな味じゃないけどさ」といい,
2人とも一口以上食べようともしませんでした。
ジェシーにいたっては,においをかいだだけで「いらな〜い」といっていました。
やれやれ。